現行制度
現在、公職選挙法第10条によって衆議院議員選挙や市区町村議会議員選挙、市区町村長選挙への被選挙権年齢は満25歳以上、参議院議員選挙や都道府県知事選挙への出馬は満30歳以上でなければならないと定められています。
被選挙権の引き下げに向けた自民党の動き
その被選挙権の年齢を引き下げることを求める運動が徐々に始まっていることをご存知でしょうか。
その流れは市民団体の間に留まらず、3月4日に自民党は党選挙制度調査会の中に、選挙に立候補できる被選挙権年齢の引き下げを検討するチームを設置することを決め、チームの座長には、被選挙権年齢引き下げに関してこれまで申し入れを行ってきた、中曽根康隆青年局長が就任しました。
3月25日にはキックオフが実施され、逢沢一郎会長と中曽根康隆座長のもと、党内において被選挙権の引き下げについて積極的な議論が始められるようになってきました。
被選挙権の引き下げは時期尚早では
私が参加したいくつかの学生の政治参加向けのイベントへの参加者の中にも被選挙権の引き下げを望む声がありますが、私は時期尚早ではないかと考えています。
断固として反対をしているわけではありませんが、特段、今引き下げに向けて議論を進めなければならないようなトピックではないはずです。
そして、被選挙権の引き下げが時期尚早であるというのは議員活動というのは政治活動よりも何倍もの政治的・社会的能力が必要とされるからです。また、基礎的な世界観・個々の時事問題に対する自分の見方を確実に持つ必要があるからです。
選挙権年齢を満20歳から満18歳へと引き下げたものの、若者の政治参加はそこまで進んでいません。まずは多くの若者が、平等に、公平に与えられている選挙権を合理的に行使し、ある程度の政治参画へのムーブメントが見られ、また多くの若者からの要求があったときに導入を実行すれば良いのであって、今、早急に被選挙権年齢を引き下げなければならないという状況ではありません。
16歳からの投票権
むしろ、私が主張するのが「16歳からの投票権」です。これは第50回衆議院議員選挙において参政党が公約の1つとして掲げたもので、最初は斬新なものだと思いましたが、主張を聞き、よく考えて見ると、私も共感しました。
「満18歳への被選挙権の引き下げが要らないと言ってた奴が、なぜ投票権をさらに幼い16歳にするのか」と疑問に思う方も少なくはないとは思いますが、その理由について以下でお答えします。
特に地方在住の高校3年生の場合、大学入学に合わせて地元を離れて上京や近くの中核都市での一人暮らしを行うという学生は多いです。その学生達が、引っ越して数ヶ月後に執行される地方選挙において、しっかりとその地方の状況を踏まえて判断し、有効的に選挙権を行使することができるのでしょうか。
だから、地元を離れる前に一度、16年間過ごしてきた地元のことを家族や友人とも話し合いながら考えるきっかけを持ってもらいたいという思いが込められているのです。
また、16歳、すなわち高校1年生から選挙権を有することとなると、中学校において主権者教育を充実させることができます。現在は主には高校において行われているが、義務教育課程である中学校において文科省主導のもとに進められるというのは大きいです。そこで、しっかりと有意義かつ経験的な主権者教育を行い、また生徒に考えさせる教育を行なって日本国の未来を担う主権者としての自覚を育ませることができます。
まずはこの「16歳からの投票権」がうまく浸透し、国民の中において合理的な選挙権の行使のための判断が定着してからでも被選挙権の引き下げは遅くないのではないでしょうか。
最後に
このような議論が起こるまで、今の学生・若者が政治に関心を持ち、参加しているというのは非常に良いことであると思っています。全国の若者の皆さん、共に日本のため、そしてこれからの子供や孫達のためにも一層、頑張って参りましょう。